2015年04月03日

makedumpfile コマンドの罠

Red Hat 社のナレッジ の中に、 vmcore ファイルのファイルサイズを削減するには makedumpfile -d 31 を使ってフィルタリングするようにという記述があります。しかし、 RHEL 6 および RHEL 7.0 に含まれている makedumpfile コマンドには、本来はフィルタリングされるべき Transparent Huge Pages の内容がフィルタリングされないという不具合があります。その結果、 vmcore ファイルのファイルサイズが必要以上に大きくなったり、 vmcore ファイル内に機密情報が残存しやすくなったりします。この不具合は RHEL 7.1 に含まれている kexec-tools パッケージで修正され、 RHEL 6 系についても RHEL 6.7 で修正予定とのことです。

RHEL 6.7 がリリースされるまでの暫定対処としては、サポート対象外の方法ではありますが、 RHEL 7.1 用の kexec-tools パッケージを RHEL 6 環境にインストールして使うことができます。 CentOS 6 環境に CentOS 7.1 用の kexec-tools パッケージをインストールする例を以下に示します。既存の環境を壊さないように、 rpm コマンドの実行時に --root オプションを指定しています。

# source=http://ftp.jaist.ac.jp/pub/Linux/CentOS/7.1.1503/os/x86_64/
# dest=~/kexec-tools/
# rpm --root $dest/ --import $source/RPM-GPG-KEY-CentOS-7
# rpm --root $dest/ --nodeps --noscripts -ivh $source/Packages/kexec-tools-2.0.7-19.el7.x86_64.rpm $source/Packages/snappy-1.1.0-3.el7.x86_64.rpm $source/Packages/lzo-2.06-6.el7_0.2.x86_64.rpm $source/Packages/elfutils-libs-0.160-1.el7.x86_64.rpm $source/Packages/xz-libs-5.1.2-9alpha.el7.x86_64.rpm $source/Packages/glibc-2.17-78.el7.x86_64.rpm

取得済みの vmcore ファイルを再度フィルタリングする際の例を以下に示します。 CentOS 6 用ではなく CentOS 7.1 用のライブラリが参照されるようにするために、 LD_LIBRARY_PATH= オプションの指定と /lib64/ld-2.17.so 経由での起動をしています。

# dest=~/kexec-tools/
# LD_LIBRARY_PATH=$dest/lib64/:$dest/usr/lib64/ $dest/lib64/ld-2.17.so $dest/sbin/makedumpfile -l -d 31 フィルタ前のvmcoreファイル フィルタ後のvmcoreファイル

kexec-tools-2.0.0-280.el6.x86_64 がインストールされている CentOS 6.6 環境に、上記の手順で CentOS 7.1 の kexec-tools-2.0.7-19.el7.x86_64 をインストールし、 メモリ 2048MB 中の 1536MB を特定のパターンで埋め尽くした状態で取得した vmcore ファイルを、上記の手順で再度フィルタリングした場合のサイズの変化例を以下に示します。

使用する
パターン
フィルタオプションvmcore ファイルの
サイズの変化
0-d 31100,739,352

91,312,408
-l -d 3129,346,091

20,415,428
1-d 311,706,537,640

91,736,744
-l -d 3140,430,575

20,533,033
rand() 関数の
戻り値
-d 311,705,867,632

91,050,376
-l -d 311,634,827,177

20,510,161

上記は意図的に特定のパターンで埋め尽くした場合に生じる極端な結果ですが、現実のメモリ使用状況でもある程度の効果を期待できる筈です。

posted by 熊猫さくら at 21:11| Comment(0) | TrackBack(0) | Linux